タチウオの釣り方つられかた
タチウオ(太刀魚)が釣れると地元のアングラーは『気持ち悪いイール(うなぎ)が釣れた』と言って逃げ回ったりする人もいます。ニョロニョロしてる様に見えるかも知れないけど、実はウナギとかアナゴとかヘビとかではなくって、タチウオってサバの親戚に分類されるのですってね。
もう一つ、タチウオはウルフへリング(wolf herring)に良く間違えられます。ウルフへリングは、日本で釣れるサッパ(ニシンの仲間)をみょ~んともっと長くして、タチウオと同じ鋭いナイフみたいな歯を持っている魚です。魚釣りをある程度している人は良くウルフへリングと間違えているみたいです。「お、これは大物に最高のベイト(餌)になるぞ!良かったな!」と言われた場合は、その人達はかなりのアングラーですが、やっぱりタチウオは人間が食べるものじゃないと思っている人達です。
タチウオの呼び名の由来の一つにある、『立ち泳ぎをする魚』という事に着目すると、日本では(おそらく)タチウオが遥か昔から食卓に上がる魚で、なおかつ釣りのターゲットだったのでしょうね、この魚に興味があったから観察して付けられた名前、そんな気がします。他方、オーストラリアでの呼び名ですが、元々はイギリスから来た名前なのかも知れませんが、ヘアーテイル(hairtail)という呼び名は、タチウオの鋭い歯も気になったし、ギラギラニョロニョロする動きも気になったし、最後、尻尾を見たら、まるで人間の髪の毛みたいだ!(きもっ!)と、思って付けたのかも知れないね(笑)。
幾つかの釣魚辞典を見る限りでは『とてもおいしい魚』と必ず評価されているのに、やっぱり現実にはこの姿や動きだけで興味が終焉してるのでしょうか。『Despite their unusual appearance and mysterius nature, hairtail are a prized table fish with their delicate white flesh.』前半のコメントの方が食べない人には食べない理由になるのでしょうね。白人の人達は(肉も脂身が少ないのが好きだし)脂がのった魚は好んで食べないんだけど、このタチウオは白身魚だから食べる人はきっと好んで食べるとは思いますが、釣り場では本当にタチウオはひどい仕打ちばかりされている(例えば桟橋に釣上げられたまま放置されている)のを見かけるとかわいそうに思えてきます。
そんな不遇な扱い?を受けているタチウオ達がケアンズの夜の海をわらわら徘徊している様をじっと観察していると、なんだか最近とっても親近感というか情が移ってきました。
と、言いながらバカスカ釣上げては食べてるんだけどね(笑)。
ここケアンズではタチウオが主に捕食しているベイトはヘリングといって日本で言うサッパです。マッドへリングというお腹に泥がたまっていてでっぷりしているサッパも良く食べます。後は、流されてくるイカやエビ、カニも食べる様子です。マレット(ボラ)も食べるのかもしれないけど見た事はないですね。まぁヘリングが一番柔らかくて食べやすい気がするので勝手にタチウオの主食だと思っています。
彼等の立ち泳ぎをする姿を見た事がありますか?ケアンズでは夜、浅瀬にベイトを追いかけて入ってくるので、港などに出かければ簡単に見る事が出来ます。水底から、ぬっと水面まで登場して、ぼーとしながらゆっくり沈んで行きます。水面に流れてくる小さな魚やエビを捕食している時はそんな行動を良く取っています。パチャと水面で音がしてその方向を見ると、黒い長い棒みたいな影が水中にあれば、それはタチウオです。・・・マングローブの種と見間違わないように。
港や桟橋の明かりの足元にベイトが群れている場合は、群れに突っ込んでギラッギラッと反転するタチウオを見る事も出来ます。最初の一回目のアタックではタチウオは餌の魚を捕まえて食いきれない為に、まず、ナイフの様な鋭い歯で攻撃します。生餌の餌釣りをしていると分かるのですが、最初のアタックは必ずといっていいほど、お腹にアタックして裂こうとします。次に傷ついたベイトが水面の方へクルクル回転しながら逃げる様子をタチウオはまたじっと見ています。ベイトの動きが止まった瞬間、下から今度は喰い上げます。先ほどの、ナイフで切りつけるアタックとは違って、噛み付き飲み込もうとします。頭部辺りを噛み付き、飲み込みます。これも一度では行わず、また口からベイトを離して、放たれたベイトがふわりふわり水中から水面へ漂う感じになっているのを、何度もアタックして飲み込む行為をします。
こんな風景をいつも私は良く観察して見ています。投網どころか虫取り網ですくえる様な近距離で、彼等の捕食行動をじっと眺めていると本当に面白い。日本で、タチウオを餌釣りで釣る方法に良く書かれていることですが、最初のアタリであわせないことが大事、というのは、こんな彼等の捕食行動に理由があります。特に、最初のアタックは餌をくわえるどころか、ナイフで切りつけているようなものなので、あわせても釣れません。
ではルアーだとどうなのでしょう。餌釣りと同じでルアーにアタックがあったらあわせてはいけないのでしょうか。
あわせて良いと思います。でも個人的にはあわせない方が好きです。あわせて良いという理由も、あわせない方が良いという理由も、どちらにもあてはまる要素は、ルアーについているトレブルフックにあります。
餌釣りの場合、シングルフックを使うので、タチウオの口の周りは鋭い歯が多くて変な所に掛かる場合が多いので、餌を飲み込ませた方が無難です。ルアーの場合、トレブルフックを使う為、しかもルアーには前後、二つもついているので、どこかにトレブルフックの一部がひっかかれば、また違う所がタチウオの口や頭、体に引っかかります。なので、あわせれば、そういう現象がおきやすいし、個人的には、そもそも最初のアタックでトレブルフックが付いているルアーのお腹辺りを狙ってタチウオが体当たりをしてくる、その行為そのものが、トレブルフックをタチウオが自らひっかけていく感じになるので、あわせなんか必要ないと思っています。逆にあわせると、身切れなどをおこしたり、すっぽぬけちゃう場合があるので、向こうあわせでラインにテンションをかけていれば釣れます。ちなみに、実際に使用していますがバーブレスフックでも別に問題ありません。
ルアーの選択は、ミノータイプが良いでしょう。好みではフローティング(浮力が強い)ルアーよりも、サスペンド(浮力ゼロ、水中で止まる)ルアー、または、スローシンキング(ゆっくり沈んでいく)ルアーが良いと思います。後述しますが、特にデッドスローシンキング(じれったいくらいゆっくり沈む)ルアーが最高ですね。
タチウオは立ち泳ぎをしながら上方の餌を探しているので、ルアーを沈めてしまうと釣り難いです。基本は、上記のミノータイプのルアーでタチウオの頭の上を泳がせてアピールします。アピールの仕方は、元気良くピンピンピンと水面近くでベイトが跳ねる姿を模して、ピタッと止めます。つまりトゥイッチです。ルアーがタチウオの頭の上を跳ねながら通り過ぎ、そして、通り過ぎた辺りでピタッと止めると、ガバッと下からアタックしてきます。ルアーの大きさは、その日のベイトの大きさにあわせて、どのサイズのルアーにするかを決めて下さい。
(ケアンズみたいに)サイトフィッシング、つまり、水中のルアーの動きが見えて、タチウオがルアーにアタックしてくる様子がすべて肉眼で見える距離で行える場合、ガツーン!なアタリの時や、重い!?Snaged(根がかり)!?と感じるアタリの時に、よく一部始終を観察して見て下さい。ルアーが引っ張られ、ガツーン!のアタリの場合は、ベイトをナイフの様な歯で切り裂いて弱らせる行動パターンの時のアタリだと思います。他方、グッと重くなるだけの時は、ルアーを丸呑みする勢いで噛み付いています。このアタックの違いが出るのは、(想像ですが)ルアーの動きの速さに関係していると思います。
そして、釣れる瞬間はルアーの動いてる間ではなく、動きを止めた瞬間。そこがポイントなのですが、アタリの違いはそこにも関係しています。
基本的にベイトを追い掛け回しているタチウオを狙う場合は、ルアーを速くトゥイッチで動かしてピタッと止めます。止めるのは1秒から2秒。またトゥイッチで動かし始めます。これで喰ってくるタチウオは、ギラッ、ガツーン!ラインがジジーッが多いです。元気なベイトを追っているのでタチウオの活性もあがっていて、中にはルアーをくわえたまま水面から飛び出してジャンプする輩もいます。さすがにシーバスやバラマンディみたいにテールウォークはしませんが、活性の高いタチウオのアタックはその様に元気いっぱいです。
他方、速くルアーを操作しても何にもアタリがない時は、ルアーの後方を良く観察して見て下さい。タチウオがスーッと後ろからついてきている事が多いはずです。
もしくはルアーがある場所とはぜんぜん違う場所で、ギラッと反転してみたり、水面近くまで顔をヌッと出してみたりする行動が見られると、おそらくそれほどタチウオの活性が高くないと判断します。つまり、ルアーにそれほど興味がないのですね。元々、タチウオにはルアーは偽者と分かっていると思いますが、活性が高いと追い掛け回さないと気がすまないのでしょう。活性が低いと、それほど追い掛け回す気力もないのかも知れません。たまに、私はルアーを尻尾で叩いて行くタチウオを見かけますが、あれは活性が低いというより「またお前か!もう来るな!」と怒っているようにも見えます(笑)。
ショートバイトという言葉がある様に、タチウオがルアーを食いきれない、もしくは、後ろからついてくるだけで、全くルアーに触ろうとしない状態の場合は、ルアーの進行速度を下げます。
本当にありえないくらいのスローな状態にするのがコツです。
トゥイッチ、ポーズ(5秒、10秒、15秒・・・)、トゥイッチ、ポーズ・・・
コツは遠めにルアーを投げて、速めの動きでやる気のないタチウオを足元まで連れて来ます。
そして、足元で、上記の様にゆっくりルアーをダンスさせます。水面下、50cmの範囲内でそれをやります。
この場合、デッドスローシンキングルアーだと、面白い様にやる気のないタチウオがアタックしてきます。
アタックの様子は、ガツーン!でなく、ハムッって感じで噛み付きます(笑)。それでそのままこちらが何もしないとボーッとルアーをくわえたまま立ち泳ぎで止まっているタチウオもいます。
おそらくですが、一度アタックされて傷ついたベイトに見えるのでしょう。ゆっくりゆっくり沈んで、と、思ったら、ピンピンピンと動いて、水面に向かって動く。そして、ピタッと止まる。またふらふらと沈んでゆく。これは、タチウオが実際のベイトを捕食している様子をルアーで再現してあげるのです。なので、デッドスローシンキングルアーが一番やり易い。
遠めにルアーを投げて、同行者と何か話をしながら、ルアーを操作してると、ゴッと重くなった様なアタリがあるのは、ルアーが長い間止まっている状態におきます。ルアーの動きも同行者と世間話をしてるので遅くなりがちだし、止める回数も無意識に増えたりしているのだと思います。そういう時には、活性の低いタチウオ、もしくは、一度ルアーにアタックしてスレてしまったタチウオが、釣れやすくなります。目の前にそんな力を出さずに捕食できそうな動く何かがいるのはやっぱりタチウオも我慢できないでしょうね。
ということで、韓国の人達が足元にルアーを浮かべてタチウオを釣っているという話は、ルアーが潮の流れで微妙に揺れて動くのをハムッて噛んで確かめようとしているのだと思います。
タチウオのやる気を観察して、速いルアー操作と、超スローな操作を試して見て下さい。次回は実際に私がタチウオ釣行で使っているルアーの紹介をしたいと思います。
最後にですが、ワイヤーをつけるのを忘れずに!ワイヤーつけても釣れなくなることはありません。つけない方がルアーの操作は簡単ですが、太いナイロンリーダーでもタチウオは簡単にスパッと切っていきますので、大事なルアーの場合はつけることをお勧めします。




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