タイガー & ドラゴン
タチウオってどこまで大きくなるのでしょうね。
オーストラリアの釣魚辞典によると最大2m、重さは3kgから4kgと記述されています。日本のタチウオと同じですね。
いつも釣上げてるのは1m以内の大きさのタチウオ。それくらいのサイズがおいしく食べやすいです。メーターオーバーを釣上げるのは稀といえば稀なのですがそれほど激レアではありません。しかもメーターオーバーのタチウオは、例えば1m超えると20kgとなるバラマンディの様に、他のゲームフィッシュに比べたらパワーや重さがない為にそんなに興奮するものではありません。
・・・ドラゴンに出会うまでは・・・そう思っていました。
釣り人の共通項、ある程度魚が釣れる様になると、他の魚種を求めたり、大きなサイズのものを求めたりします。
夜の海、ケアンズの浅瀬に入ってくるタチウオのほとんどは1m以内のサイズが多いです。私が普段釣っている場所は、水深が1mあるかないかの場所なので、当たり前ですが、メーターオーバーのタチウオがいたら、水面から首をだしている状態です。
ドラゴン!?
なので結果的に、普段は1m以内のサイズのタチウオしか釣れません。ちなみにそこの明かりに照らされている同じ場所で、水深1mほどの場所と、2m、3mの場所を釣り歩くと、決まって浅い水深の場所の方がタチウオは群れています。理由は、タチウオは浅いのが好きというわけじゃなくて、(自分の背中は空、お腹は水底の方が敵におびえる要素が少ない為に)ベイトが怖がって浅い場所で群れているから、という理由です。そのベイトを追いかけて浅瀬に入って来ているということですね。
というわけで、メーターオーバーのタチウオを釣りたいのなら、首長竜みたいに水面に顔をださなくて良い水深、つまり1m、2m以上ある場所で、しかも、ベイトが群れている場所を見つける事が大事です。特に、港などで水深が深い場所だけ明かりが煌々として照らされている所でベイトが足元に溜まっていたら、かなりの確率で、
ドラゴンがいる!!
ケアンズでタチウオが釣れる場所は、夜に明かりがある場所であればどこでもOKです。一番、メジャーな場所は、ピア。段々と釣り禁止区域が増えて、現在では、沖側の桟橋のみとなりましたが、それでもタチウオは釣れます。
ケアンズで初めてタチウオを釣ったのもここピアでした。ピアは、現在7本の桟橋があります。昔は5本だったか、6本で、あと岩を敷き詰めたロックジェッティ(岩桟橋)もありました。昔は岩桟橋や他の桟橋でも釣りが出来たので、ターポンやバラマンディが居つく場所があって、そこでけっこう楽しい釣りを展開していました。餌釣りでもいろんな魚が釣れて、釣り初心者の人を連れて行くにも良い場所でした。当時、ターポンやバラマンディを狙ってるとたまにタチウオが釣れました。あまり興味がわかなかったというか、さすがにターポンやバラマンディが釣れる場所でパワフルフィッシングを楽しんでいると、タチウオはあまりにも貧弱すぎたので、ポイッ。あはは。
確かにバラマンディタックルでタチウオを釣ってると、最初のアタックから数秒くらいはそれなりのパワーを感じますが、タチウオが諦めた瞬間、簡単に水の中からゴボウ抜き。ドラグが鳴ることなんてないですね。たぶんルアーをくわえた瞬間、こちらが本気をだして引っ張ればおそらく簡単にこっちに飛んで来るかもね。
ということで、狩モードの時は、今でもバラマンディタックル、つまりヘビーベイトタックルを使ってタチウオをバカスカ抜き上げて釣っていますが、タチウオを本格的に狙い始めてすぐライトタックルを組上げました。やっぱりどうせ釣るなら、釣りそのものを楽しむのが良いですね。日本で釣りを覚えたのでその辺の感覚はあります。おそらくオーストラリアには・・・。タナゴ釣りの楽しさなんて彼等には分かるだろうか・・・。なんでもハンバーガーやB.B.Q.みたいな常に同じ大味なノリで満足するイメージだからね・・・。
さて、そういうわけで、タチウオのパワーにあわせて、タチウオ専用タックルを用意しました。これまた約10年前だったかな大昔に日本で購入したパックロッド、パームスのQUATTRO(クアトロ) QGS-602を倉庫から引っ張り出してタチウオ専用タックルのメインロッドにする事に決めました。次に1000番台の小さなスピニングリールを用意しました。遠投する必要がないし、繰り返しキャスティングする事もないので、ベアリング数が少なく安くて小さなもので十分と判断しました。ラインは普段からPEに慣れているので20ポンドのPEを使用しました。そんなパワフルなラインなんて必要ないんだけど、万が一大物が来た場合の為です。リーダーはナイロンリーダーではなく、ワイヤーを使います。
このタチウオ専用タックルでたくさんのタチウオを釣りましたが、やっぱりドラグが鳴るのは楽しい。柔らかく軽いロッドなのでタチウオのパワーが巨大魚の様に感じて、久々ライトタックルにはまって楽しいですね。バラマンディやターポンのパワーフィッシングも楽しいけど、ライトタックルの楽しみはまた別次元の面白さです。
黄色いタイガーロッドが吠える。夜空の星の様に銀色に煌めくタチウオを見つけ出しては仕留めて行く。
そして、ある日、ドラゴンは前触れもなくやって来ました。暗闇の底からそっと忍び寄るかの様に。
あ、根がかり、だ。と思った瞬間、ゆっくり動き始めます。
お、重いっ!!なんだ、これっ!?
水中で見たことのない長さの生き物がギラリギラリと体を光らせています。
本当に大きかった。メーターオーバーという表現どころじゃない。化け物だ。
急にドラゴンが激しく暴れ始めます。右へ左へ走り、ドラグが鳴り続けます。
なんて重さだ、本当にこれタチウオか!?
手前まで寄せて来た時は既に混乱状態。慌ててる。体すべてが慌ててる。
ありえないことをしてしまった。
いつもタチウオと遊んでいる手順、それが体に染み付いていて、無意識の内に、ロッドを立ててドラゴンを抜き上げにかかった。そんなことはできるはずもないのに・・・。
目の前でタイガーが吠えた。ポキリと黄色のタイガーの牙が折れてしまった。
今まで他の人がロッドを折る瞬間を見た事があって、ガイドがふっとんでロッドが折れるのって、それはそれですごい光景なんだけど、今回のは、不思議な感じがした。ポキリという感じ。ミシミシという前触れもなかった。急にポキリ。ペタン。真っ二つ。そして、PEラインが足元のコンクリートですれて、ドラゴンは・・・。
抜き上げた距離、水面からの距離は、わずか10cmもしくは20cm足らず。ドラゴンの頭が水中から出たっ!という瞬間でした。
頭真っ白。タイガーは牙が折れて死んでしまった。ドラゴンは夜の海に消えていった。
タイガーこと、クアトロは4ピース(竿が4つの部分に分かれていて繋げて使う)パックロッド(旅行用の携帯ロッド)。おそらく同じ様なものオーストラリアには売ってなさそう。修理したいけど、こんなもの見た事ないんじゃないか・・。頭真っ白になりながらも修理出来る希望があるかどうか考えていました。
翌日、TACKLE WORLD(タックルワールド(ケアンズ))というオーストラリアの釣具チェーン店に持ち込んでみました。元々ここは、プロショップ ERSKINE'S(アスキン) TACKLE SHOPと同様、個人のプロショップのお店だったんだけど、少し前にタックルワールド傘下になった様です。そして、アスキンも今では、TACKLE WORLD TEAM ERSKINE'S TACKLEという名前で同じ傘下に入ったようです。タックルワールド(ケアンズ)には、昔GOT ONEというショップがあった頃の店員さんが働いているので、私はちょこちょこ通っています。
さて、この折れたタイガー クアトロを修理に出してみました。やはり店員さんぞろぞろ集まってきました。めずらしいみたいで、ある一人の店員さんに値段を聞かれたので答えると、さらにみんな仰天してました。
「これ、修理するの難しいかも。ロッドビルダーに見せて聞いてみるから、しばらくこれ預かるね。」
オーストラリアで何かを修理に出すと、ものすごい時間がかかります。以前、ベイトリールを修理に出したら、3ヶ月後に「これ修理に必要な日本独自の部品が手に入らないのでここでは無理」と返されたこともあったので、今回もそうなるかなぁと思っていました。
すると、修理されて帰ってきた!しかもたったの修理費A$20!
まぁテープでぐるぐる巻いてつなげてあるように見えるんだけどね(笑)
「前よりもロッドのパフォーマンスが弱くなってるはずだから気をつけてね」
と、言われたんだけど、全然問題ない。これを直したロッドビルダーはすごいね。店員にこのロッドビルダー、すごいね、どんな人なの、と聞いてみたら、「とっても有名な人だ」と一言。オーダーメイドも出来るそうでいつかお願いしてみようかな。ただ、めちゃ高いらしいけどね。
(牙に包帯)タイガー & ドラゴン
というわけで、タチウオは、大きくなるとドラゴンになるんですよ!知ってました!?
因縁の対決には、必ずネット持参で行く事を誓いました。




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